【 注 意 】
・タナッセ愛情エンド後、AかBか曖昧
・外伝等のネタバレもほんのり
・穏やかな日常の一コマ、お互いデレデレ、タナッセ視点三人称
b l u e s k y
彼女はしょっちゅう彼の従弟と鳥文をやりとりしている。
いくら離れて暮らしているとはいえそんなに話すことがあるのだろうかと彼などは疑問に思うが、彼女が言うにはまだまだ足りないくらいらしい。事実文屋を介し定期的にまとまった量の手紙も送り送られている。彼には受け止めきることの適わなかった従弟であるから、正直な話、そちらへ対する多少の嫉妬心もあるのかもしれなかったが、
「えへへ」
どこか幼い笑顔で手紙を受け取る彼女を見ると、
「おほん」
などとわざとらしい咳払いで彼を見るよう遠回しに要請してしまう辺り、従弟への嫉妬心も、これまた多少あるのだろう。
しかし彼女は何もかもお見通しだという主旨の言葉と共に、少々の大人げなさを発揮した彼をいつもいつも笑顔で見つめてくれる。その笑みは心底嬉しそうなもので、だが彼には理由が知れない。問えばはぐらかされてしまうのも毎回のことだが、さっぱり不快を抱けないのだから、全くどうしようもない。つまり今日も平和なのだ。その穏やかさにあてられてなのか、たまには従弟へ一筆書こうかと彼が言うと、彼女は微笑みそれがいいと手元の文へ目を落とす。開け放たれた窓の向こうは晴れ渡っていた。
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タイトルは『空へ…』(笠原弘子)から