いわゆるフリーゲームに関する感想や二次創作メインに投稿しています(2023年現在)。取り扱い作品:『冠を持つ神の手』

2012年11月30日金曜日

【かもかて小ネタ】離れて話して今では過去の

【 注 意 】
・タナッセ愛情AorB後
・主人公の村での境遇を描写





離れて話して今では過去の



 石の雨。お手軽だな、と思う。
 落とし穴。無駄に手間暇割いているな、と思う。
 二つが揃うと、さすがに面倒と嫌気が感情の全面に出てきてしまう。
 更に水が降りそそげば、もう気力が全て削がれるようだった。手の空いた人間は父の正体を妄想し、捏造したよそ者の母の過去をなじり、私自身へは得体が知れないと嘲笑を投げかけた。
 あぁそうだ、そんなこともあった。
 全ての子供が参加していたわけではないが、当時の私は個々の区別をする余裕もまるで存在しなかったから、記憶の顔の目鼻立ちは不明瞭だ。
 ひとまとめで、みんなきらいだな、と。城に来てすぐ、ぼんやり考えた。

  ……と、住んでいた村での境遇例の、まあ、ピンとキリのピン寄り中間地点を寝台の上で語ってみたら、タナッセが青い顔で眇になった。過去を問われたものだから試金石として簡略にまとめたのだが。えぐい話は更にえぐいため、私は今後キリの話だけを選ぼうと心に決める。皆が皆、こうも拗くれて酷い所業を行って きたものじゃない。やはり一定数同情を向けてくる層というのもあった。村民の対応が一枚岩にならなかったのは、村長寄りと神殿寄りに別れたことが大きいよ うに思う。下らない村八分といらない御慈悲万歳。まあ過去の話はもういいだろう。そもそもタナッセは何故村での扱いはどうだったか、なんて尋ねてきたのか。
 問うとタナッセはどもりながら歯切れ悪く答える。過ごしてきた、育ってきた環境が異なりすぎるから知りたかった、と。母子家庭の苦労 というのも身近にない経験で、物語を読んでもある程度の身分を持っており、私という前提を置くと身体性が薄く、結局本人に訊くのが一番だろうと考えたらしい。実際三年も前の話だ、痛む心はない。だが彼の方は、うんまあ予想通りだけれどもまた悩み出した。分かりやすさに小さく声を上げて笑う。
 さて、仕方がない。今度はとっておきの想い出を話そうか。母との想い出。心の深くに仕舞ってあって普段は私自身取り出さずにいる、大切な。











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裏『夜露の想い出』
殿下はなんだかんだ手ぬるいと思うのですがまあそこが逆にいいというか。